妊娠回避のための子宮内避妊器具(避妊リング)
何らかの事情で、しばらくの間妊娠を望まないという方には、子宮内に専用の器具を挿入して妊娠回避をする、避妊リングが最適です。これは子宮内に器具を入れることで、免疫反応をおこさせて、精子の活動を抑えたり受精卵を着床しにくくしたりするものです。
数年間は挿入したままにできますので、ピルなどと比べて、飲み忘れなどのない分安全性は高いといえます。
避妊確率も99%を超えるものですが、異物反応を利用しているため、月経期間や月経量の変化が起こることもあります。不正出血なども考えられます。そのようなときには、使用を中断する必要があります。
コンドームと異なり挿入時の違和感はありませんが、性感染症の予防にはなりませんので、その点にも注意が必要です。
ミレーナ(IUS)
IUSとはIntrauterine Systemの略で、黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システムです。
ミレーナはT字型をした柔らかいプラスチックでできた器具で、T字の縦の部分から女性ホルモン(人工黄体ホルモン)が少しずつ溶け出します。
それによって、子宮内膜の成長が阻害され、子宮内膜が薄いままとなりますので、受精卵が着床しにくい状態となります。また子宮口周辺の粘膜の状態が変化し子宮内へと精子が侵入しにくくなります。そのため、非常に高い避妊成功率を誇ります。
また月経過多や重い月経痛などにも効果があることから2014年からは過多月経や月経困難症の治療としても承認され健康保険が適用されています。
子宮内避妊器具の副作用
装着後すぐには、月経期間や月経量の変化が起こることもありますが、しばらくすれば治まります。
子宮内避妊器具が向いている例
子宮内避妊器具は、妊娠を希望しない、または次の出産まで一定期間を空けたい方のほか、コンドームの使用や低用量ピルに使用に自信がない方、低用量ピルの服用ができない方、低用量ピルを服用すると副作用が強くあらわれる方などに向いています。
ミレーナは過多月経や月経困難症の方にも保険治療薬の承認を得ており勧めの治療法です。
子宮内避妊器具が使えない例
子宮内避妊器具は、妊娠中の方、挿入時にひどい痛みを伴う方や子宮の形状や位置に異常がある方などの身体的条件がある方には使用できません。
また、不正出血が認められる方、子宮頸管炎や腟炎がある方、性器のがんや黄体ホルモンに依存するがんがある方、骨盤内炎症性疾患(PID)にかかっていたり、以前にかかったことがあったりする方、重度の肝障害がある方、3か月以内に性感染症にかかったことのある方にも使用できません。