骨盤位経腟分娩とは
骨盤位経膣分娩とは逆子の状態で経膣分娩することです。
頭位での出産の場合先進してくる赤ちゃんの頭と子宮口に隙間がないことが多く、臍帯が先に出てしまう危険は低いです。
骨盤位での経膣分娩の場合、先進してくる赤ちゃんのお尻と子宮口に多少の隙間が出来ることがあり、臍帯が出てしまうリスクがあります。
その為多くの分娩施設では逆子=帝王切開術が選択されています。
しかし、帝王切開による母体に対する次回妊娠時の危険性や合併症などを考慮し、当院では条件を満たした妊婦さんには骨盤位経膣分娩と帝王切開術のリスクを説明した上でご家族と相談していただき、分娩方法を選択していただいています。
骨盤位経腟分娩のリスク
骨盤位経腟分娩の場合、微弱陣痛や遷延分娩を引き起こし、陣痛促進剤が必要となることがあります。
分娩時には、赤ちゃんが神経麻痺(上腕神経損傷など)、脳室内・頭蓋内出血、骨折、腹腔内臓器損傷などの分娩時損傷を受ける可能性があります。報告によると、選択的帝王切開では新生児合併症および周産期・新生児期の死亡率は1.6%であり、骨盤位経腟分娩では5.0%です。ただし、分娩方法を選択する際には、厳格な基準を守ることで、赤ちゃんの合併症は選択的帝王切開でも骨盤位経腟分娩でも同様に少ないという報告もあります。
※産婦人科診療ガイドライン・産科編 2014/日本産科婦人科学会
帝王切開のリスク
帝王切開のリスクには、感染、出血の増量、腸閉塞、血栓塞栓症、他臓器損傷、次回妊娠への悪影響などが挙げられます。
当院の方針について
外来での妊婦健診を経て骨盤位経膣分娩が可能と判断された状況で、帝王切開術前検査を行いご本人・パートナーが説明を受けリスクを十分に理解した上で行うことが出来ます。
骨盤位経腟分娩を選択したとしても、母体・胎児の状況によっては緊急帝王切開に切り替える場合があります。
もしくは分娩の状況により当院での対応が難しいと判断された場合は高次医療機関(大分県立病院 周産期母子医療センター・大分大学医学部付属病院 産科婦人科・別府医療センター産婦人科)への母体搬送となる場合があります。
分娩後の新生児の状態によっては高次医療機関のNICUへ新生児搬送となる場合があります。