出生前診断の種類
出生前診断にはNIPT以外にも様々な種類があります。
確定検査 | 絨毛検査 | 妊婦さんのお腹や腟から特殊な針を刺す | 染色体 異常全般 | 11~14週 | 流産率1% | |
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羊水検査 | 妊婦さんのお腹や腟から特殊な針を刺す | 染色体 異常全般 | 16週0日~ 17週6日 |
流産率0.3% | ||
非確定検査 | 新型出生前検査 (NIPT) |
妊婦さんから採血する | 18トリソミー 13トリソミー | ダウン症(21トリソミー) | 11週0日~ 17週6日 |
なし |
クアトロテスト | 妊婦さんから採血する | 18トリソミー 二分脊椎 |
15週0日~ 17週6日 |
なし | ||
NT検査 | 胎児の首のむくみを測定 | 18トリソミー 13トリソミー |
11~13週 | なし |
当院は、羊水検査、母体血胎児染色体検査(NIPT)、母体血清マーカーが検査できます。
羊水検査
羊水は成長する胎児のクッションの役割や、胎児が自由に動くための環境などを担っており、その中には胎児の細胞が浮かんでいます。当院で行っている羊水検査(染色体検査:G分染法)は、その浮かんでいる細胞を採取して、細胞を培養(増殖)させ、染色体の数や形の変化の有無を調べる検査となります。お母さんのお腹(子宮)に針を刺して羊水を採取した後、検査会社へ送ります。結果は約3~4週間かかります。また、血液型がRh陰性のお母さんが検査を受けられる場合には、検査後に胎児への感作予防(胎児の赤血球を破壊する抗体が作られるのを防ぐ)を目的に、抗Rh(D)免疫グロブリンの投与が必要となります。
※ パートナーまたはご家族の検査の同意が必要となります。
染色体とは
人間の体を形成している細胞のなかには、核が存在し、その内部に染色体があります。染色体は膨大な遺伝子が折りたたまれている状態ものです。染色体は、1~22番まである常染色体(2本で1セット)と、性染色体(男性型XY、女性型XX)があり、合わせて46本の染色体をもっている人が多いです。染色体の数の変化(多い、少ない)、染色体の形の変化(転座、重複など)は、流産、子宮内胎児死亡、胎児発育不全を引き起こしたり、胎児形態へ影響を及ぼすこともあります。
検査の対象
ご希望の方は羊水検査を受けることが出来ます。
医療的にお勧めする対象は以下の方となります。
- 本人または配偶者(パートナー)が染色体異常の保因者(モザイク、転座)である場合
- 母体年齢が35歳以上である場合
- 染色体異常児の出産既往がある場合
- 原因不明の形態異常を認める児の出産既往がある場合
- 現在、妊娠中の胎児に形態異常を認める場合
- その他、染色体異常の胎児を妊娠する可能性が高い場合
対象 | 16週0日~17週6日の方 |
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検査日 | 月曜日・木曜日 ※完全予約制とさせていただきます。 |
時間 | 2日入院 ※9時~翌日午前中に退院予定です。 場合によっては1日入院となります。 |
持ち物 | パジャマ・洗面用具・タオル・着替え・スリッパ |
結果説明 | 月曜日・木曜日 14~16時 土曜日 15~16時 ※結果説明も完全予約制とさせていただきます。 検査日から約3週間後にわかりますのでご希望の日時をスタッフへお伝えください。 結果説明はできるだけパートナーと一緒に来院してください。 |
- 検査には同意書が必要となります。
医師より説明を受け、検査前に同意書を提出してください。
検査の流れ
1検査前
お腹に針を刺す前に、経腹超音波検査で胎児の大きさ、位置、胎盤の位置を確認し、針を刺す場所を決めます。
2準備
針を刺す場所を中心にお腹を消毒した後に清潔な布で覆います。
3検査
経腹超音波検査で針の位置を確認しながら、羊水(染色体)検査専用の長細い針をお腹に刺します。羊水はおよそ20ml採取し、所要時間は5分程度です。
4検査終了
検査終了後、1時間程度ベッドの上で安静にし、お腹の張り(子宮収縮)の有無や胎児心拍を確認した後帰宅となります。
検査の合併症
破水・出血・子宮内感染・穿刺針による母体障害(血管や腸管などの損傷)・流産・早産・羊水塞栓症などが報告されています。とくに流産に関しては、0.3~0.5%(300~500人に1人)くらいの頻度であるといわれています。また、針が刺さっている状態で胎児が動いた拍子に引っかき傷をつくる場合もあります(生まれた時にはほとんど分かりません)。
これらの合併症をなるべく防ぐために、お腹を消毒し、超音波検査で確認しながら行い、針を抜いた後もベッド上安静の時間を設けています。
帰宅後にお腹が張る(痛い)、出血がある、水っぽいおりものがある等の症状があればご連絡ください。また、子宮筋腫・胎児・胎盤の位置・その他の理由で検査が困難となる場合や、検査自体行うことができない場合もあります。
検査の結果
検査終了後、3~4週後くらいに外来で説明させていただきます。
電話でのお問い合わせには、守秘義務上お答えできません。
また、採取した羊水中の細胞の培養がうまくいかないことも報告されています。培養がうまくいかないと少ない細胞で診断することとなり、検査結果の信頼性が保証できないほどの場合には再度、羊水検査を行わなければならないことがあります。
また、モザイク(正常細胞と染色体の変化をもつ細胞が混在している)や微細な染色体の変化(染色体レベルでは検出できない小さな染色体部分の欠失や重複など)は検出できないことや母体血液細胞の混入が起こることもあります。
羊水検査の費用
胎児の検査となるため保険適応とならず、全額自己負担になります。不測の事態に備え、ベッドを確保し、入院扱いで検査を行います。抗Rh(D)免疫グロブリンの投与が必要な場合には追加料金となります。
内容 | 料金 |
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羊水検査 | 15万円 |
※当院でNIPTを受けて陽性または判定不能だった方は検査料無料。入院費用として1万円(税込)
※食事・超音波・NST検査料・手技料も含まれます。