子宮筋腫とは?
子宮筋腫は、女性特有の病気としてはもっともポピュラーなものの一つで、30歳を過ぎた女性のおよそ4~5人に1人はかかっているといわれています。
この病気は子宮をつくる筋肉の細胞からできる腫瘍です。良性のもので、女性ホルモンの一種であるエストロゲンによって大きくなります。そのため、月経のある間は大きくなる可能性がありますが、閉経後は医療が必要ないほど縮小改善することもあります。
良性ではありますが、不正出血や流産、不妊症などの原因となることがありますので、とくに肥大化した場合注意が必要です。
症状は筋腫ができた場所や数などによって異なり、治療が必要かどうかはそれによってかわってきます。
子宮筋腫の原因
子宮筋腫ができる原因は今のところわかっていません。ただし、筋腫が大きくなる要素としては女性ホルモンの一種であるエストロゲンが関わっていることが判明しています。また成熟期に罹患数が増えることもわかっています。
子宮筋腫の症状
初期のうちは症状が出にくいのが子宮筋腫の特徴です。主な症状としては、月経痛、不正出血などの他、経血量の増加とそれによる貧血、頻尿、便秘などもあります。 子宮筋腫はできる場所によって
- 粘膜下筋腫:子宮の内側の粘膜内にできるもの
- 筋層内筋腫:子宮の筋肉の内側にできるもの
- 漿膜下(しょうまくか)筋腫:子宮の外側にできるもの
の3つに分けられますが、症状はそれぞれ異なります。
粘膜下筋腫は小さくても症状が比較的重いことが多く、重い月経痛、経血量の増加などがおこり、不正出血が見られることもあります。放置すると不妊や流産などの原因になることもあります。
筋層内筋腫は子宮筋腫のうちもっとも罹患数の多いもので、全体の7割にあたるとされています。肥大化すると重い月経痛や経血量が増えすぎるなどの症状があらわれます。
漿膜下筋腫は、もっとも症状があらわれにくいものですが、できた場所などによっては激しい痛みをおこすことがあります。
いずれのケースでも、月経困難症の症状や貧血など一般的な婦人科の症状と似ているものが多いため、なんらかの不調を感じたらすぐに婦人科に相談するようにしましょう。
子宮筋腫の治療
無症状の場合や症状があっても軽い場合の治療は不要です。肥大化したり、症状が重くなったりした場合には、手術か、投薬など保存的な療法のどちらかになります。
以前は手術といっても子宮全摘出になっていましたが、近年医療が発達し、患部のみの核出や患部へ栄養を届ける血管の遮断など、体に負担の少ない治療法がとられるようになりました。
また保存療法では、痛みを抑えるなどの対症療法のほか、女性ホルモンをコントロールする薬などを使用します。
無症状や症状が軽微なケースでも、知らないうちに肥大化することなどもあります。そのため経過観察が必要ですので、定期的に婦人科で診察を受けるようにしましょう。
子宮筋腫が不妊の原因に
「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。不妊の原因は様々ですが、子宮筋腫もその一つです。
粘膜下筋腫や筋層内筋腫では、子宮内にできた筋腫によって受精卵の着床が妨げられ、不妊になる可能性があります。
もし妊娠を希望しているのであれば、症状が軽微であったり、無症状であったりしても一度婦人科で診察をうけるようにしてください。